終末のワルキューレ45話ネタバレ!釈迦の奔放極まれり!|絶望の零福
絶望の零福
一人の少年から不幸を取り除き、少年は幸福になった。
零福はそれこそが自分のなすべき事と決め、不幸に喘ぐ人々を幸せにする為に各地を巡り、人々が抱えるあらゆる不幸を吸って、吸って、吸って、吸いまくった。
そして零福は満ち足りて、最初の住まいであった社に帰ってきます。
しかし、零福はあまりに不幸を吸い取り過ぎ、彼の姿はすっかり変わり果て、かつての光は失われてしまい、見すぼらしい姿になってしまっていた。
そして、あの日の病の少年のように身体にも不調がでているようで…
吸いとった不幸は激痛という苦しみとなって零福の身体を蝕んでいました。
もはや動くことすら不自由かほどの苦しみを抱える零福ですが、それでも人間達が気がかりでならない。
零福にとっては、人間達を幸せにする事が一番の幸福だったのです。
零福は再び立ち上がり、また各地を周りはじめます。
最初に活動を始めた、あの村へ…
しかし、零福は知らなかった…
人間というモノの本質を…
不幸を吸い取れば吸い取るほど、人は『幸福』を見失い、どこまでも堕ちていく…
零福は人間達が幸福に生きてくれる事を望んでいた。
それで自分を痛めつけてまで今まで不幸を取り除いてきた…
その結果、人々は満ち足りたのかもしれないが、際限ない欲望が幸福とはなんであるかを見失わせてしまった…
呆然と立ち尽くす零福は女性を連れた若い男とぶつかり、その場で倒れしまう。
振り返った男の顔を見て、零福はそれが自分が最初に不幸を吸いとってあげた少年が成長した姿であると一目で感じ取り、『大きくなったねぇ』と元気に成長できた事を悦び、祝福するが、男はそんな事など知らないというような表情で…
汚い奴…
誰だよ、てめぇ…
女性達はキモいとか縁起が悪いから早く離れようという。
そして男は零福に
『汚い身体で村を汚すなよ、とっとと失せな』
と唾を吐きかけて笑いながら立ち去るのだった…
零福は理解できない…
これが現実であると…
自分を犠牲にして、人間の幸福だけを願って不幸を吸いとってきた結果が…
この現実だというのか?
ウソであるとしか思えない。
現実など到底受け入れる事ができない。
こんなに、こんなに不幸を吸いとってあげたのに…!
零福が吸いとり、自らの身体を苦しめる不幸は、徐々に憎悪へと変換されていく…
自分がやった事が間違いではないはずだ…
自分は幸福にしてあげたくてやった事…
なのに、どうして幸せになってくれないのか?
いや、何故ここまでしてあげて幸せになれないのか…?
お前らは、一体とうすれば幸せになる事ができるんだ!?
零福は人間達のこの裏切らりにうちのめされ、また人間達を愛せなくなりはじめていた…