ONEPIECE921話から酒天丸とワノ国おこぼれ町の老婆についての考察|酒天丸の弱さ
酒天丸の弱さ
弱者を守る侍はいない、それを束ねる強い男もいない…
ワノ国はもう終わりだと、酒天丸は言いました。
この男、恵まれた体格と戦闘能力を持ちながら、精神的にはババアの足元にも及ばない相当なヘタレですな。
強い男がいないのなら、自分がそれになろうと何故しないのか?
また、何故民衆から奪う事はするのに、何故守ろうとしないのか?
ジャックと互角以上の戦闘能力は何の為にあるのか?
正直、ムカッ腹が立ちます!
彼の正体が、無法地帯時代の九里で最も危険な男と言われたアシュラ童子であるなら、また更に腹が煮え繰り返ります。
もしそうであれば、錦えもんによると、かつて共におでん様に仕えた身であったようです。
それが何故、あのようなグレた中学生みたいな態度で生きているのか?
彼はジャックに対し、
『侍なめんなよ』
というセリフを吐いていました。
侍だという自覚があるのですから、尚更腹が立ちます!
酒天丸が信じるべき存在を失っている事は容易に想像できます。
ババアのように、人生に対する確信がないのです。
確信という道標がない為に、彼は道をまっすぐに歩めなくなっているように見えます。
また、彼はまだ大人として成熟もしていないようにも思います。
彼は、自分に自信がないのです。
自信がない故に、世界を斜めに見て逃避を続けているだけなのです。
何からの逃避か?
それは、自分が為すべき事からでしょう。
おでん様の遺命たる『開国』。
彼はそれをする為にその命を使うべきなのです。
彼は『死に損のうた』と口にしていましたが、おそらく錦えもん等も死んでしまったと思い、自分も一緒に死んでいたら『楽だった』とか『意味があった』なんて事も考えているのでしょう。
それも逃げ口上。
彼は生き残った、それだけでまだ何かを為す事ができるのです!
ただ、それを『成し遂げる』自信がないだけの事。
逃避を続け、民衆から奪う事で更に自分を貶め、傷つけていくという、これ以上ないという負の連鎖の先に何があるのか?
それは彼が一番よくわかっているずです。
そういう意味では、酒天丸はババアよりもはるかに弱い人間であると、甲塚は考えます。