甲塚誓ノ介の体験談シリーズ1|直してくれ・・・
甲塚誓ノ介体験談シリーズ1についてこの記事をご覧いただきありがとうございます。
いい芝居してますね!サイト管理人の甲塚誓ノ介でございます。
この記事ではシリーズとして甲塚が実際に体験した出来事を
- 甲塚誓ノ介の体験談シリーズ1|アマチュア脚本家時代・・・
- 甲塚誓ノ介の体験談シリーズ1|ニイちゃん・・・ニイちゃん・・・
- 甲塚誓ノ介の体験談シリーズ1|100円・・・
以上の項目に沿ってご紹介させて頂きます。
甲塚誓ノ介の体験談シリーズ1|アマチュア脚本家時代・・・
甲塚誓ノ介の体験談シリーズ第1回 『直してくれ…』
甲塚は40年を超える人生において、様々な体験をしてきました。
笑える話、泣ける話、ほっこりする話、怖い話…
色々ありますが、皆様の話のネタになりそうな体験談を私が尊敬する稲川淳二大先生の口調をお借りして、発表させて頂きたく思います。
今回は、甲塚が30代前半に実際に体験した話を書かせて頂きたいと思います…
これはねぇ、私が30代前半の頃に実際に体験した事なんですが…
私は当時、演劇の世界にいましてね。
まあ、アマチュアなんですけども、役者をやったり脚本を書いたりしておりました。
その時は脚本家として、ある劇団さんのお世話になってました。
楽しいんですよねぇ…
みんなで『ああだこうだ』言いながら、一つの作品を仕上げていくのって。
時間の経つのを忘れて演劇について語りあったりしてね。
そんなこんなで、その日も帰るのが遅くなって、大阪市内から、終電近い電車で家路に着きました。
甲塚誓ノ介の体験談シリーズ1|ニイちゃん・・・ニイちゃん・・・
私が住んでたところの最寄駅は快速が止まらない駅でね。
途中で普通電車に乗り換えなきゃならないわけだ。
で、
私、
快速を降りて深夜のホームでベンチに座って普通電車を待ってたんです。
私はまあ田舎の方に住んでたんですが、快速の止まる駅なら週末は終電くらいでも結構人がいるもんです。
でもねぇ、その日は何故か人がまばらなんだ…
周りには酔っ払いやちょっと怖そうなお兄さんしか見えない。
嫌だなぁ、おっかねぇなあ…
なんて思いながら、次の電車の時刻を見てみるとね、15分くらい時間があるんだなぁ…
はあ…おっかねぇなあ…早く電車来ないかなぁ…
と思いつつも、カバンの中からね、PSPを取り出してね、一狩りしようかと思った瞬間、
ゾクゾクッ!
背中に強烈な悪寒を感じる!
おいおい、待てよぉ、これ、アレなんじゃねぇの~!?
私ね、ちょっとそういうのあるんだなぁ…
何か、身体中から嫌~な汗が染み出してきてね、ゾクゾクするんですよね、背中が…
経験上、こんな時は気づいてないフリをするのがいいもんで、私、構わず一狩り始めましたよ。
ちょうど金獅子の剛角が欲しかったんでね、獲物はもちろんラージャンだったんですけどね。
金獅子の剛角を入手するにはG級の『最後の招待状』がよくねぇか?と思ってね、そのクエストを受注したその瞬間、
『ニイちゃん…』
何か、背後から低~い、地の底から響いてくるような声が聞こえる!
私には姉が一人いるんですが、弟も妹もいないんで、兄呼ばわりされる覚えはありません。
『ニイちゃん』
また聞こえた!
おいおい待てよ~!
オレには死んだ弟も妹もいないよ~!
『ニイちゃん』
ナンマンダブ、ナンマンダブ!
人違いです!
お願いですから、どこかへ消え失せて下さい!
ナンマンダブ!ナンマンダブ!
心の中でそう呟きながら、私はブレスを連発して隙だらけのラージャンに溜め斬りを決めまくっていたんですが、
『ニイちゃん!』
語気が強くなった!
しかしね、よく聞いてみると、この声、生きてる人間の声なんだ…
『なあ、ニイちゃんて!』
強くなった語気に無意識に反応しちゃってね、私、思わず振り返っちゃった!
するとね、明らかにそのスジの人らしきジャケットを着た厳つい男性が立ってるんですよ!
その男性の眼光の鋭さに、私、一瞬固まってしまったんですが、
『な、なんでしょうか?』
と、ラージャンが気になりながらもPSPの電源をOFFにしましたよ。
甲塚誓ノ介の体験談シリーズ1|100円・・・
するとね、その男性、私を睨みつけながら胸ポケットに手を突っ込むんだ!
ああ、私の人生終わるのかなあ~と思ったんですが、その男性の胸ポケットから現れたのは私をどうにかしようとする凶器じゃなくて、『メガネ』なんですよね。
銀縁の『メガネ』…
それを見た私が呆気にとられているとね、その男性、私にそのメガネを差し出して、
『直してくれ…』
て、言うんですよ。
『直してくれ…』?
修理してくれって言うんですよね…
私はまた呆気にとられながらも
『し、失礼…』
と言いながらそのメガネを受け取るとメガネのフレームのネジか外れかけている…
『ニイちゃん、なんとか直らんか?それないとオッさん何も見えへんのや…』
さっきの鋭い眼光はそういう事かと思いましたね。
メガネはね、ネジが緩む事ってあるんですよ。
私もメガネ派なんで、気持ちがわかります。
気の毒だなあ、何とかしてあげたいなあ…
しかし、修理するにはドライバーが必要です。
しかも、細かい精密ドライバーじゃないと、コイツはどうにもなりません…
『細かいからのう…何ともならんかのう?』
男性はその厳つさに似合わない情けない声でそう言いました。
本当に目が悪いんだなあ、何とかしてあげたいなあと思った刹那、待てよ…
そういや持ってるよ、精密ドライバー!
そうなんですねぇ、私もメガネのネジがよく緩むんで、持ち歩いてたんですよ、精密ドライバー!
『あ、何とかなりますよ…』
私はPSPをカバンに入れると同時に精密ドライバーを取り出し、男性のメガネのネジをキュッキュッと締め直し、男性にメガネを手渡しました。
男性はそのメガネをかけると上気した声で、
『やっぱりよう見えらよ!ニイちゃん、ありがとうな!』
と、言いながら私の肩をポンポンとたたき、私から離れていきました。
一時はどうなる事かと思いましたが、危機は去りました。
私は再びPSPの電源を入れ、ラージャンと戦っていたんですが、また声が聞こえる。
『ニイちゃん』
さっきの男性の声なんですよ!
もう無視はできないですから、私はまたラージャンとサヨナラすると、声の方に顔を向けました。
すると男性は私の手をとり、
『助かったわ、これでジュースでも飲んでや』
と言いながら、私の手に何かを握らせて、ホームの端の方へ去っていきました。
手を開いてみると、100円玉が一枚…
私、それを見て思いましたねぇ…
『100円じゃ飲めないよ…』
あるんですよねぇ、こんな話…
以上が甲塚誓ノ介の体験談シリーズ第1話になります。
最後までお読み頂き、誠にありがとうございました!