ベルセルクのガッツと蝕についての考察|蝕の始まり
蝕の始まり
走り出したグリフィスを追うガッツの心中はとにかくグリフィスの無事を祈る事で占められていたでしょう。
グリフィスを再起不能に追い込んだかも知れないという自責の念、唯一『友』であると認められたい存在を失う事は、ガッツの鋼のような精神でも耐えられるものではなかったかも知れません。
ガッツはグリフィスの姿を発見します。
グリフィスの生存を確認したガッツは安堵しながらもグリフィス確保を果たすために馬車を走らせます。
しかし、グリフィスの背後には、死せる太陽が浮かんで見えます。
『蝕』の始まりでした。
二度とお前を…
ガッツは死せる太陽など構わずにグリフィスの元に駆け寄ります。
しかし、グリフィスは
『来るな、来るな、今お前に肩を掴まれたら、二度とお前を…』
と心の中で叫びます。
この後に続くセリフはなんだったのか?
おそらく
『友と呼べなくなる』
だったんじゃないでしょうか?
プライドの塊のようなグリフィスが、対等であるはずの『友』からの同情を受け止めきれるわけがありません。
グリフィスはこの後、血の涙を流します。
グリフィスは1番失いたくなかったものを失ってしまったのです。
それは『友としてのガッツ』だったのだと思います。
『自分の国を手に入れる』という自分の夢よりも価値のある唯一のもの…
それを失った瞬間、ついにグリフィスの魂は世界の果てを見る事になったのです。
夢の果て、世界の果て、その先には…
何もかも失ったグリフィスは血の涙を流します…
それは一度は失いながらも因果の流れの中でグリフィスの手元に舞い戻った真紅のベヘリット『覇王の卵』のあるべき姿を取り戻させ、『覇王の卵』は渇望の慟哭により、荒野を、巨大な人面に覆われた異世界へと変貌させ、あの『ゴッドハンド』達を現世に召喚します。
ガッツ達は、ゾッドがよげんした『決して逃れられない死』に満ち満ちた魔界へと、引きずり込まれたのです。
彼らを囲む無数の使徒。
今まさに新たな福王誕生の為の儀式たる大いなる夜祭『蝕』が始まろうとしていました。
そのトリガーとなるのが、究極の選択を迫られるグリフィスの意志一つでした…
ベヘリットとは?
ベヘリットは、石のような硬い材質で、人間の顔のパーツが無秩序に配置された卵型の物体です。
グリフィスは首飾りとして愛用していましたが、彼が持つ真紅のベヘリットは『覇王の卵』と呼ばれ、それを持つものは己の血と肉を引き換えに世界を手に入れると呼ばれているものです。
これは、世界の果てに辿り着いた、つまり、到底乗り越えられない人生の限界の壁に行き道を無くしてしまった者の流す血の涙に呼応して、神としか言いようのない因果律そのものであるような存在の意志の執行者であるゴッドハンドを召喚します。
ゴッドハンドは、己の血肉にも等しい存在を捧げる事と引き換えに壁を乗り越える為の力を授けますが、あくまで強要はしません。
ベヘリットは、因果律によって選ばれた者を超常の者へと『転生』させるスイッチ。
平たく言えば
『人生やり直しスイッチ』
とでも呼べるものかも知れません。
しかさは、これにより転生すると言いよう事は現世に生きながらも人間ではなくなり、『魔』そのものとなってしまいます。
この発想は、人はその人間性を捨て去る事で、人間以上の存在になるという事の比喩かも知れませんが、現実世界においても、歴史に名を残した人の中には、そんな人がいたかも知れないと、私は思っています。
この記事でのご紹介は以上となります。
最後までお読み頂き、誠にありがとうございました!
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