ゾンビではオレはない!
ケンジとオカチンはまさにベテランの手際でゾンビをあらかた片付けてしまい、最後の1体のみとなった…
ケンジが
『伐採完了〜!』
ケンジが最後の一撃を繰り出そうとした時、オカチンの矢が先に最後の1体の頭を射抜いた!
ケンジはそれも構わずに最後の1体の頭にチェーンソーの刃を立てると、そのまま斬り下ろしていく!
両断されたゾンビの左右が地面に倒れるとケンジは振り返り、
『オカチン、今の反則やろ〜?』
と言いながらチェーンソーのエンジンを切る。
『は〜は〜は!お前人に助けてもらっといて反則も何もあるか〜よ!というか、あんだけ暴れて眼鏡君はちゃんと生きてるんか?』
キミタカは自分の安否が気づかわれている事に気づき、それに応える。
『あ、あ、ありがとうでっさ…ちゃんと生きてるでっさ…た、助かった…恩にきるでっさ…』
キミタカは血塗れになり、眼鏡のレンズも真っ赤に染まっていた…
『heyドングリ、数を報告せよ!』
ケンジは誰かに先程の伐採数の報告を求めた。
『はい、ケンジさん!』
その声からして、ドングリというのは一番最初に声をかけてくれた男らしかった。
ドングリは指差しながら数を確認する…
『かなりバラバラになってるんで正確にはアレっすけど、見たところ全体約30ってところですかね…内訳は…ケンジさんが…約20、オカチンさんが…10ってとこすかね…』
ドングリがそう報告するとケンジは血塗れになっている場所を避けてそこにうつ伏せになると、
『ドングリ!』
と呼びながら、腰をマッサージしろと指で合図する。
ドングリはやれやれと言った感じで肩をすくめるとケンジの腰をマッサージし始める。
男達はケンジ、オカチン、ドングリのほかに二人いたが、二人は特に声を発することもなくキミタカを遠巻きに見ている。
オカチンは他の二人から何かを察してたのか、
『ああ、そうそう一応確認しとかんとアカンなあ…流暢に喋ってるから大丈夫やと思うけど…』
というと、キミタカに向けてボウガンを構える。
キミタカはゾクッとして
『いや、あの、オレは生きた人間でっさ!ボウガン向けるのはビーゾンつまりゾンビだけにしてもらいたいでっさ!』
とアタフタとした口調で応える。
しかし…
『眼鏡君、すまんけどなあ確認せなアカン事あるんや…血で汚れててよくわからんから、ちょっと血ぃ拭いて顔見せてくれるか?』
オカチンがそう言うとオカチンの横にいた男が無言でタオルを差し出す。
キミタカはそれを受け取ると急いで顔を見て拭い、メガネを外して血を拭き取る…
『こ、これでいいのかでっさ?』
キミタカはそう言いながら、オカチン達に素顔を晒した。
するとオカチンと男達は一瞬肩を震わせると明らかな敵意をキミタカに向けた。
『ケンジぃっ!アカン、コイツもあのゾンビや!』
キミタカはオカチンのその言葉が全く理解できなかった!
自分が…ゾンビ?
いや、自分は生きた人間だ!このオカチンとかいう男の目こそゾンビのそれではないのか?つまり、腐っている!
『ちょっ、なにを言ってるのでっさ!そんな事あるわけないでっさ!断じて、ゾンビではオレはない!!』
ドングリは反応してマッサージを止めようとしたが、ケンジはそのやりとりに大して動じる事もなくドングリに続けるように合図すると、オカチンに向かって…
『サンプルは一匹おるからな…オカチン、やっておしまい』
と、平然と指示する。
オカチンはそれを聴くと、
『眼鏡君、成仏しとき…』
と、矢を発射した!
第4話に続く
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