土星の衛星ハイペリオンのいびつな形にリングは何でできている?|水よりも比重が軽い惑星
土星の衛星ハイペリオンのいびつな形にリングは何でできている?についてこの記事をご覧いただきありがとうございます。
いい芝居してますね!サイト管理人の甲塚誓ノ介でございます。
この記事では太陽系の中でも周囲を幻想的な環に囲まれたひと際異彩を放つ惑星の土星についてを
- 土星の衛星ハイペリオンのいびつな形にリングは何でできている?|大きいのに異常に軽い惑星
- 土星の衛星ハイペリオンのいびつな形にリングは何でできている?|天体を取り巻く幻想的な環の正体は?
- 土星の衛星ハイペリオンのいびつな形にリングは何でできている?|スポンジのような形をしたヒペリオン
以上の項目に沿ってご紹介させて頂きます。
土星の衛星ハイペリオンのいびつな形にリングは何でできている?|大きいのに異常に軽い惑星
土星を水に入れると浮いてしまう
厚いガスが取り巻く巨大惑星
土星は太陽系内で、木星に次いで2番目に大きい惑星です。こちらも地球と比較してみると、赤道半径が約9.4倍、体積が約755倍、質量が約95倍という巨大さであります。しかし土星の平均密度はというと、太陽系の中でもっとも低く、1立方センチメートルあたり0.69グラム程度しかありません。
土星の中心には鉄や岩石でできた核(コア)があり、その上に液体の水素、気体の水素の層があると考えられています。木星と同様に、土星も大気の9割以上を水素が占めていて、あとは5%程度のヘリウム、残りがメタン、アンモニアなどの気体で構成されています。
このように中心核の周囲を厚いガスが取り巻いている惑星を【巨大ガス惑星】と呼びます。太陽系の惑星では木星と土星、そして天王星と海王星が該当します。中でも木星と土星は、木星型惑星と区分することもあります。
ちなみに、地球のように主に岩石や金属でできている惑星の事は、地球型惑星と呼びます。太陽系では地球をはじめ、水星、金星、火星がこれに含まれます。
土星を大きなプールに入れると・・・?
太陽系の枠性の中で、惑星が入るような大きなプールがあるとして水に入れてみたらどうなるでしょうか?
惑星は巨大なので水に沈んでしまうとお考えになるのが普通なのですが、なんと土星だけは浮いてしまうのです。
土星は平均密度が1立方センチメートルあたり約0.69グラムと水よりも比重が小さいため水に入れても浮いてしまうのですね。
もちろん現実に考えて惑星を水に浮かべたりはできるはずもありませんが、これは同じ環境下で惑星をプールに入れてみたらどうなるかという思考実験なのです。
土星の衛星ハイペリオンのいびつな形にリングは何でできている?|天体を取り巻く幻想的な環の正体は?
リングがあるのは土星だけではない?
土星以外の天体にもリングを発見
土星の特徴と言えば、やはりなんといってもその美しいリングでしょう。観測精度の低かった時代では、リングを別の惑星に見間違えたり、土星には耳があると思われたりしていたものですが、土星のリングの厚みは、数十メートル程度で、比較的厚い部分でも数百メートルほどしかなく、巨大な土星比べると非常に薄いものなのです。
しかし、このリングは土星特有のものではなく、太陽系の中だけでも、リングを持つ天体がいくるもあるのです。まずは天王星です。天王星のリングはは1977年に発見されました。
天王星の背後に見える恒星が規則的に瞬いたことから、リングであることがわかったのです。
天王星は自転軸が98度傾き、ほぼ横倒しの状態になっているため、リングも垂直面を地球に向けた形になっているのです。
またNASAの探査機、ボイジャー1号によって、1979年には木星、1989年には海王星にリングが存在することが判明しています。
そして2014年には小惑星カリクローに、小惑星としては初めてリングの存在が確認されています。カリクローは直径約269キロメートルで、土星と天王星の間で太陽を回る小惑星です。
リングは何でできている?
こうしたリングは、氷のかけらや岩石の塵などの小さな粒子が寄り集まったものなのですが、どうやってリングが形成されるかは、まだ不明な点も多いのです。
主な説には重力に引き寄せられた衛星や小惑星が、互いに衝突したか、あるいは【ロシュの限界】(天体が本星の影響で破壊されずに近づける限界の距離)を越えたためにできた、というものなどがあります。
なおリングは恒久的に存在するわけではなく、数万~数億年で散逸してしまうと考えられています。
ちなみに土星が太陽の周りを回る公転周期は約30年。土星のリングは公転の影響によって地球から見える角度が変わるために、15年ごとに真横から眺めるようになります。その時には、まるで土星の環が消失したように見える【土星環の消失】が起こります。
土星の衛星ハイペリオンのいびつな形にリングは何でできている?|スポンジのような形をしたヒペリオン
いびつで奇妙な土星の衛星ヒペリオン
不規則な自転が観測を阻む
惑星や衛星、小惑星などの天体には、奇妙な形や面白い特性を持つものも多く、そうした天体を調べることも天文ファンの楽しみの1つですよね。
土星の衛星ヒペリオン(ハイペリオン)もそんな天体のひとつです。
1848年に発見されたヒペリオンは、ギリシア神話に登場するティターン(巨人族)のひとり、ヒュペリオンにちなんで名づけられました。
土星の衛星は65個発見されていますが(S/2004 S 3、S/2004 S 4、S/2004 S 6は同じもの、または粒子塊(clump)の可能性があり、これらを除くと62個という説もあります)。日ペリオンはそのうち土星からもっとも離れた衛星群の中にあり、土星を21日かけて一周しています。
ジャガイモのようないびつな形をしているせいで、軌道を回りながら不規則な自転をしているのです。今の所、ほかにこのような動きをする衛星は確認されていません。
その動きは予測困難で、ヒペリオンの表面を観測することは非常に難しいのです。
クレーターができない特異な星
NASAの土星探査機、カッシーニは、2005年にヒペリオンに接近して撮影した画像を見て、研究者は驚きました。
通常、衛星や小惑星の表面は、他の天体や隕石との衝突によって、多数のクレーターが存在しているものなのですが、ヒペリオンの場合はクレーターではなく、無数に穴が空いたようになっていたのです。
これには、ヒペリオンが主に凍結した水、つまり氷を主成分としているために密度が異常に低い、つまりスカスカの状態であることが関係しています。
隕石などがヒペリオンに衝突しても、そのまま天体の奥へめりこんでしまい、衝突の衝撃で飛び散った岩や塵もそのまま宇宙空間へ逃げてしまうため、クレーターにはならないのです。
こうしてヒペリオンは、まるでスポンジか軽石のような姿になったのだと考えられています。
また、カッシーニの観測によって、ヒペリオンの表面に二酸化炭素の氷(ドライアイス)の存在も確認されています。わずかな熱でもすぐに蒸発してしまうドライアイスが、太陽光の当たる表面でも存在しているのは、二酸化炭素が有機物と結びついているからだとのこと。
有機物は生命の材料となるものです。
ヒペリオンに生命が存在する可能性は非常に低いですが、私たちが考えるより、生命の材料は太陽系内ではありふれているのかも知れないですね。
この記事でのご紹介は以上となります。
最後まで記事をご覧いただきましてありがとうございました。
【その他の太陽系の惑星関連記事】
木星の衛星の数に探査機が捉えた赤い目玉は?|太陽になり損ねた惑星の姿