【ネット小説】ゾンビの王に俺はなる!|序章【ゾンビ思う故にゾンビあり】第2話 変質者ではオレはない!!
悪夢
『夢』…
この世界において、それを掴める者はごく一握りであるのかも知れない…
追いかけても追いかけも掴めぬ逃げ水のごとき幻…
今、キミタカにとってのそれは
『カレー』
であった…
キミタカはもう何年も何年も、
『野菜をトッピングしたフィッシュフライカレー300g2辛』
を追いかけ続けている…
何度かその手に掴んだ事はある…
しかし、そのたびに幻のごとく消え去り、キミタカを嘲笑うように目の前に浮かび、永遠に終わらぬ旅へとキミタカを誘うのである…
何故、追いかけるのかと問われれば、純粋にそれを食べたいからである。
また、注文の主であると言う責任感からでもある。
自分が諦めたら、せっかく作ってくれたポコ壱番屋泉佐川店さんに悪いではないか…
キミタカはその思いを両の足に込め、行先に浮かぶカレーを求めてひたすらに歩みを進める…
また何年か経ったある日…
キミタカの前に奇跡が起こった…
灼熱の砂漠のど真ん中にポコ壱番屋のBOX席が存在し、キミタカの求めしあのカレーが、まるで今までの苦難の道程を労うかのようにテーブルに鎮座しているのである。
おそらくキミタカはカレーに認められたのだろう
『我、食す資格あり』と…
キミタカは全てを理解した。
今日まで、キミタカにはカレーを食べる資格を得るに、何かが足りなかったのだ。
この苦難の道程は、その足りないものを満たす為にカレーから課された修行であったのだ!
キミタカはカレーに向けて深く一礼すると、BOX席に座り、用意されていたスプーンを握りカレーに向き合う…
しかし次の瞬間、キミタカは愕然とした…
いや、そうではない、驚きはなかった。
ただそれを、認めたくなかっただけだ…
キミタカが追い続けてきたカレーは…
腐っていた…